中学生になったばかりの主人公・水谷茜は、一風変わったクラスメイト・月野透と夜の学校で邂逅し、その不思議さの一端に触れる。誰もいない、2人だけの世界で繰り広げられる秘密の特訓は、いつまでも続くようで……。弾けるジュースの水滴、一斉に飛んでいくカラーボール、闇夜のプールに浮かぶ月、ぽっつり落下してゆく線香花火。様々なモチーフが画面の中で切り取られ美しい一瞬になる。心象を映し出す景色の描き方と言語感覚の伸びやかさが、今作品として結実し、幸福な読書体験を提示する。デビュー以来、エッジの効いたマンガ表現と繊細な心理描写の組み合わせで読者の心をかき乱してきた短編の名手が送る、『ちーちゃんはちょっと足りない』以来の長編第二作。新境地にして、集大成。