短いコピーで推さねばならない編集の気持ちは察するが、キャッチーな台詞を前面に押し出し、安易な形容を用いるのは避けるべきだ。作者が浮かび上がらせる感情の輪郭を、「さみしさ」「切なさ」と陳腐な鋳型に嵌めたくない。言語化しにくい心の片隅を、こんなにくっきり手渡してくれる。母との邂逅に、裸の隣人に、父の異変に、友人との記憶に、アニメキャラの葬式に、続く暮らしに、兄との距離に、彼女の嘘に、日常への反抗に。こんなにも心が動かされる。切り取る一瞬に息を呑み永遠を感じる。きみのことはこんなに好きなのに、どうしてこんなに胸がくるしい。 宮崎夏次系短篇集3作目。『変身のニュース』、『僕は問題ありません』とともに、是非。