高校二年の水泳部員、サクタさんは夏休みを間近に控えたある日、屋上で彼女の好きなアニメの絵を描く同級生、もじくんと出会う。ひょんなことからもじくんの兄が探偵であることを知ったサクタさんは幼いころ別れた実の父親探しを依頼することを決意する。新星、田島列島の表現力、構成力は全く新人離れしている。読者の記憶を刺激する小ネタの数々や登場人物らの甘酸っぱいやりとりは、我々が彼らと同じ青春時代を生きていることのだと感じさせてくれ、そしてその完成された構成力によって、物語は張り巡らされた伏線ををたどり、一つの一貫したテーマへと収束していく。世界に必要なのは「自分にしかない力」ではく、「誰かから渡されたバトンを次の誰かに渡すこと」なのだ。バトンを受け取った少年と少女はかくして男と女となり、そしていつの日かそのバトンを次の世代へと渡すことだろう。「読めばうっかり元気になる」ひと夏のボーイ・ミーツ・ガール。心地いい田島列島の世界に浸り、うっかり元気になってみてはいかがか。