主人公のちーちゃんは身体も心もちょっと幼い女子中学生。彼女の周囲には、友人のナツと旭、勉強を教えてくれる奥島くんと如月さん、いつも心配してくれる優しいお姉ちゃんがいる。同じ団地に住むナツは、引っ込み思案で、要領が悪い。貧乏で、おしゃれな服が買えない。大人びていく同級生を見て焦ったり、取り残されたように感じてしまう。トラブルメーカーのちーちゃんを中心に、明るく愉快な日常が描かれるのだが、ある日、バスケ部のお金が盗まれる事件が起きるのだった――ポップな絵柄の裏に漂う不公平さは、「足りない」という、漠然としつつも実感のある言葉で表現される。最後のナツの独白では、思春期らしい焦燥感・劣等感が溢れ出し、心を締め付けられる。漫トロランキング4年連続ランクインの阿部共実による初長編。新しい阿部共実が、ここにある。