まさに「ひと夏の思い出」と呼ぶべき作品で、大人への反発、少女との出会い・交歓、そして子どもゆえの無力さの痛感・成長がある。小学生だけの暮らしなど上手くいくはずもなく、楽しい擬似家族は、ただただ彼女の精いっぱいの虚勢の上に辛うじて成立しているだけだったのだ。彼女のあまりに細い腕にどれだけ重い荷物が抱えられているのか知った時には、大人の都合で生活は破綻してしまった。そこで受けるクラスメイトの陰口、「捨て子みたい」という台詞は、期せずしてまったく的を射たものであり、その正当性にはゾッとする。しかしその正当性は彼女を救わない。怒り出す彼はまったく不条理だ。でも!そうするしかないんだよ!そこで逃避行ですよ!もう、逃げるしかないねん。彼女のために何かしたい、何かしなきゃいけない、でも何をすればわからんねん!そこでの逃避行はまさに仮初で、どうにかなるわけがないのだけど、仮初ゆえの美しさがある。キラキラと儚い輝きを放っている。すぐに大人に捕まってしまったけど、それは彼女も了承済みで、思い出にはなる。「家族になってくれて、嬉しかったよ」って。夏は終わった。でも季節は巡り巡り人生はこれからも続いていくから、頑張って生きてかなあかんねんで。支えになる思い出もできたし、きっと夢も叶うからな。