『ぷらせぼくらぶ』の奥田亜紀子が描く、どうにもならない日々を繊細な筆で切り取った短編集。
表題作『心臓』は、生と死のコントラストが美しく、『ニューハワイ』は、絶望に沈んでいく日常の中に、光る一瞬の出来事が印象的だ。大橋裕之との共同制作『DREAM INTO DREAM』の3つの短編は、どれも豊かな発想力が発揮されている。田舎への郷愁を描く『やま かわ たえこ』と都会への憧れを表現した『るすばん』は好対照をなしていて、『神様』は、ラストにふさわしく、明るい希望を感じさせる。
絶望にゆっくりと侵食されながら日々を生きている登場人物の姿は、我々の心の深いところにある諦念も包み込んでくれるだろう。