「彼の殺人計画」はけっこう好き
「彼の殺人計画」はけっこう好き
鬼頭莫宏自身の作品解題を読むと、色々な意味で答え合わせになる。加えて言うなら、作風の変遷に対して極めて自覚的だ。
ぎこちなく動くロボットとか、釣りとか、そういう自閉的なオタク男性がハマりそうなものが好きなのは分かるんだけど、それだけをストレートに出されても作品にならないだろって思う。やはり2005以前のようなヒリヒリした内面を描いてほしいのよ僕は
「花精荘」~「ポチの場所」までが神懸ってる。ちょうど『なるたる』連載期間と被っているあたり。『ぼくらの』連載後期の「彼の殺人計画」から少しづつテイストの変化が読み取れるし、やはり鬼頭莫弘の全盛期は2000-2004年だったのではないかと。
「AとR」とか「ポチの場所」とか好きだ。子どもの心を持ち続ける大人が結局かっこよく見えちゃうな。
正直、『残暑』収録分だけ考えたら、今年の漫画の中で圧倒的に一番良かった。『なるたる』を描いたころの鬼頭莫宏の考えが結構わかったのでよかった。特に好きなのが「パパの歌」。人間の一生というものに対する深い洞察と敬意がうかがえる。鬼頭莫宏は一見無意味にキャラクターを殺しているように見えることがあるが、振り返ればキャラクター個人の人格や人生に誰よりも向き合った漫画家だということがわかる。そのことが確認できた。