レストー夫人
著者
["三島芳治"]
掲載誌
雑誌名 | 雑誌掲載情報 | 出版社 |
---|---|---|
アオハル | 集英社 |
細部
- 29 : 名前: ふわふわ 2014/11/12 (Wednesday) 15:01:58 2754
極端な省略が加えられ、しかし却って表情豊かな絵と、人間の存在論に肉薄するストーリーの美しいハーモニー。戯曲『レストー夫人』のクラス上演を巡る課題と解決を描いた表題作の4つのエピソードの裏にあるのは、「わたし」を「わたし」たらしめるものは何か、というテーマ。物語・機械的動作・ことば・パーソナリティ。それぞれのパーツから人間を再構築することを試みたとき、見えてくるものは何だろうか。三島芳治の味のある静謐な絵と、不思議なストーリーは確かに目を奪う。しかしそこで思考停止し、この短編集をただの雰囲気漫画として楽しむだけではあまりにも勿体ない。静かに読もう。そして考えよう。
ランキング情報
2014年漫トロ個人クソランキング 2 位 点 よつぼし
2014年漫トロ個人クソランキング 4 位 点 まるた
2014年漫トロ個人クソランキング 4 位 点 オグリビー
2014年漫トロ個人クソランキング 4 位 点 QP
2014年漫トロ個人ランキング 3 位 点 ふわふわ
2014年漫トロ個人ランキング 3 位 点 ホリィ・セン
2014年漫トロ個人ランキング 5 位 点 あさぎり
2014年漫トロ個人ランキング 7 位 点 ななせ
2014年漫トロ個人ランキング 15 位 点 じあん
2014年漫トロ個人ランキング 16 位 点 おでん
2014年漫トロ個人ランキング 17 位 点 ミシェル
2014年漫トロ個人ランキング 18 位 点 りんご
2014年漫トロ個人ランキング 22 位 点 抹茶
2014年漫トロ個人ランキング 26 位 点 ダリ
2014年漫トロ個人ランキング 27 位 点 黒部
2014年漫トロ個人ランキング 29 位 点 らふぃーる
2014年漫トロ個人ランキング 30 位 点 ユーカリ
- 1 : 名前: ミシェル 2014/11/05 (Wednesday) 14:44:36 2085
虚飾をほどこさず、強固な構造をただ静かに叩きつける。それは、はじめ控えめなノック音として響き、しかし次第に大きな衝撃となって読者の心に残るだろう。実に堂々とした作品である。
- 2 : 名前: 黒鷺 2014/11/06 (Thursday) 16:54:01 2177
述べ18人もランキング入れてるんだから、18個はコメントがねえとおかしいよなあ?
- 3 : 名前: ホリィ・セン 2014/11/06 (Thursday) 17:40:24 2196
「演劇」という時間的に縛られたメディアを、「漫画」という鑑賞者が比較的自由に時間を使えるメディアに落とし込んだ意欲作。静的な絵やコマ割も、「演劇」を「漫画」に落とし込む上でマッチしている。下地が演劇にあるため、これはいわゆる「雰囲気漫画」ではない。読者のあまりにも自由すぎる感性や、あまりにも勝手すぎる解釈を許さず、はっきりと読みとれる演劇らしいテーマ性(変身欲求や表現欲求などなど)がいくつも含まれ、意味深いセリフも含めてしっかりと描かれている。
- 4 : 名前: りんご 2014/11/06 (Thursday) 17:58:29 2204
目盛りがないと動けない女の子の話はかなり実生活に即していて共感を覚えた。ほかのキャラが「演技」をするなかで金髪の女の子の特殊性が目立ち、少し怖くもある。
- 5 : 名前: 電球 2014/11/06 (Thursday) 18:08:04 2210
ダンスのシーン、ビビるぐらい読みにくくて焦った。
- 6 : 名前: じあん 2014/11/06 (Thursday) 21:04:55 2235
中身が必要最低限で、完成されてる。もっと読みたいと思わせる魅力がある。
- 7 : 名前: 黒鷺 2014/11/07 (Friday) 01:08:47 2248
「下地が演劇にあるため、雰囲気漫画ではない」←???
- 8 : 名前: らふぃーる 2014/11/07 (Friday) 05:14:19 2276
いい漫画だと読者に勘違いさせるのは上手いよね。
- 9 : 名前: あさぎり 2014/11/07 (Friday) 07:42:30 2319
第三幕の女の子に声をあてる話では、人のキャラは他人が作り上げてその作られたキャラをその人自身も受け入れることがあるんだとわかる。「今どっちがしゃべってた?」「どっちでも同じか」
- 10 : 名前: ホリィ・セン 2014/11/07 (Friday) 15:26:24 2386
>黒鷺
「演劇という時間に縛られたメディア」だから「読者のあまりにも自由すぎる感性や、あまりにも勝手すぎる解釈を許さない」ために「雰囲気漫画ではない」ってこと
- 11 : 名前: ユーカリ 2014/11/07 (Friday) 16:09:04 2404
ペルソナ獲得で圧倒的成長マンガ
- 12 : 名前: よつぼし 2014/11/08 (Saturday) 07:47:13 2446
絵がスカスカで味も感じられず、作者は頑張りが足りないと思う。いかに作者がメッセージを込めてたとしても、過大評価されすぎでは。
- 13 : 名前: 黒鷺 2014/11/08 (Saturday) 08:38:22 2451
そもそも演劇が多様な解釈を許さないってのがよく解らない。し、勝手な解釈を許さないから雰囲気漫画ではないってのもよく分からない。雰囲気漫画かどうかってことは、解釈の多様性ではなく、読んで具体的なメッセージが伝わってくるか否かってことじゃないの? そのメッセージ、主題が読者の解釈によって分かれたら雰囲気漫画になるのか?
- 14 : 名前: ふわふわ 2014/11/08 (Saturday) 08:50:36 2453
三島芳治の絵は、極端な省略がなされている。キャラクターの顔の輪郭は全て正円だし、キャラクターの表情はパターン化されている。2話のダンスシーンなどでは途中の光景が数個描かれているだけで、読みにくさを感じるか感じないか、スレスレのレベルだと思う。
これらの意図的な省略の裏にこそ、これらの話のキモがあるのは言うまでもない。省略された絵は、読者が想像せざるをえないからこそ、却って饒舌にキャラクターの表情を、動きを物語っている。三島の表現の魅力は、読者の想像を誘う、豊穣さを併せ持った静謐さにある。その豊穣さが表現によるものなのか、読者の想像によるものなのかは、3話を読めばわかると思う。三島の絵を見て、スカスカだの何だの言うのは、作者の意図を汲む「頑張りが足りない」んじゃなかろうか。
- 15 : 名前: ふわふわ 2014/11/08 (Saturday) 09:39:13 2471
ホリーセンの話はちょっと苦しいと思う。
それぞれの話を貫く通奏低音としてレストー夫人を上演するということがあるから、読者の想像や話全体の解釈がある程度の方向付けを受けるのは確かにそうだと思うけど、雰囲気漫画ではないのはこの漫画がしっかりしたテーマを持っているからだと思う。それから、演劇の「時間」を超越した、とホリーセンは言うけれども、その表現はまるで演劇が時間を浪費する時代遅れなメディアだとでも言っているようで気に入らない。言うまでもないけれども演劇の様々な要素は捨象され、この作品を作るのに必要な部分だけが抜き出されている。ホリーセンにとって演劇のエッセンスとはこの程度のものでしかないのか?
やっぱり演劇は舞台でしかないだろう。パフォーマンスに付随するあれこれのテーマが描かれているのは事実で、それがストーリーと絡まっていてしっかり効いているんだけれども、そこで感じられるあれこれを人間の日常の次元に昇華しているからこそ特に面白いのであって、演劇を前面に押し出して評価するのは却って『レストー夫人』や演劇の魅力を削ぐことにならないかなという気がしている。
- 16 : 名前: 黒鷺 2014/11/08 (Saturday) 09:55:57 2480
絵は上手いとは言えないが情報量は十分。作品世界を構成する邪魔をせず、十分貢献しているのだから、画風と捉えるべき。
- 17 : 名前: ホリィ・セン 2014/11/08 (Saturday) 18:41:30 2590
ふわふわの言ってることはほぼ同意なんだけど、ほとんどの演劇が時間を固定されているのは事実なわけで、それは演劇と漫画のどっちが先端にあるかという話ではなく、ただただメディアの違いがあるという話。
だから、演劇は時間が固定されているので、(時間という軸だけで見れば)「漫画」と比べて相対的に安定した解釈がしやすいと思う。(ただ、演劇には「時間の固定」だけでなく、「連続的な動作」とか「音声」とかいろいろ入ってきて漫画と異なる部分はかなり多いので、漫画と安易に比較するのは難しい。しかし、作者はそのメディアの違いを乗り越えようとしているのは間違いないと思う。実際、第ニ幕は動作の話だし、第三幕は音声の話だし。)
そしてその時間的な意味での「安定した解釈のしやすさ」が漫画というメディアに持ち込まれてるのがこの作品だと思う。ただ「漫画」を読むつもりでこの漫画を読めば「読みにくい」という感想になるのは正しい感性だと思うし、だから「読むのに時間をかける」ことを余儀なくされる。それは「演劇」というメディア形式を漫画に落とし込もうとした結果だと思うし、そういう意味で(作品への解釈が安定するので)「雰囲気漫画ではない」と言った。
【以下消してもよい】
ただ、その試みが成功しているかは微妙だし、失敗であるならばこの作品を叩く人がいるのも頷ける。
- 18 : 名前: ホリィ・セン 2014/11/08 (Saturday) 18:53:41 2596
レストー夫人は時間一定でコマが流れていく「ニコニコ静画」みたいな形式だったら良かったのかも(雰囲気がチープになるだろうからクソだけど)
- 19 : 名前: 抹茶 2014/11/09 (Sunday) 00:55:29 2628
線も背景もごちゃごちゃしてなくて読みやすい。
- 20 : 名前: ふわふわ 2014/11/09 (Sunday) 01:19:44 2631
いやー、ここで流れる時間は極めて漫画的でしょう。コマとコマの間読者が補完する(そしてそこが本作品のキモである)以上、コマの間の時間の流れ方は完全に読者に委ねられていると思う。あと、この作品で描こうとしている時間も特に演劇的とは思わない。動作と音声の話も、時間についての議論がどこでなされている?身体論の一部として時間の要素はあったけど、それは本質ではないでしょう。
- 21 : 名前: ふわふわ 2014/11/09 (Sunday) 01:21:24 2632
身体論その他を語るための舞台として、演劇があるのではないか、という話。
- 22 : 名前: ダリ 2014/11/09 (Sunday) 04:30:37 2650
3話の入れ替わりの話がよかった
- 23 : 名前: まるた 2014/11/09 (Sunday) 05:23:23 2664
主役の女子の幼少時の体験、「めもり」をイメージする女子、言葉を発しない級友のためにアテレコする女子、模型好き男子が作った奇妙な衣装。登場人物はシュールで奇想天外で、何か欠落してると思った。自己表現欲が詰まってる。ただ、話を楽しむ事とテーマを読み取ることは別問題なんや。
- 24 : 名前: ホリィ・セン 2014/11/09 (Sunday) 05:26:33 2666
あー、あの静的な絵やコマ割に関して、確かにコマとコマの間を読者が補完するものだと捉えたのかー。
こちらとしては、あの絵やコマ割は「舞台を見る観客が切り取ったワンシーンワンシーン」のようなものと捉えていて、だから読者には委ねられていないと考えていた。
あと、時間の話はあくまで作品全体のメディア形式の話であって、作品内の個別の内容に対して時間的なものは別に感じてないよ。
- 25 : 名前: 白田 2014/11/09 (Sunday) 05:34:01 2669
よく分からん漫画だった。
- 26 : 名前: QP 2014/11/09 (Sunday) 07:08:33 2693
第一幕はつまらんと思ってたけどただの導入でしかなかった。
- 27 : 名前: 黒部 2014/11/09 (Sunday) 09:27:13 2738
演劇をする上でやらなければいけないことと、この日常でしていることは共通点が多く、登場人物が演劇の練習や準備をしていくうちに、自分たちが日常でしていることを意識していく…かはわからないが、読み手が意識させられる。
深い意味がもっとあるのかもしれないが、私はそれだけの漫画だと思って読んだ。絵が下手だという印象も全く受けなかった。
- 28 : 名前: ふわふわ 2014/11/10 (Monday) 14:35:31 2748
極端な省略が加えられ、しかし却って表情豊かな絵と、人間の存在論に肉薄するストーリーの美しいハーモニー。三島由紀夫の戯曲『レストー夫人』のクラス上演を巡る課題と解決を描いた表題作の4つのエピソードの裏にあるのは、「わたし」を「わたし」たらしめるものは何か、というテーマ。物語・機械的動作・ことば・パーソナリティ。それぞれのパーツから人間を再構築することを試みたとき、見えてくるものは何だろうか。三島芳治の味のある静謐な絵と、不思議なストーリーは確かに目を奪う。しかしそこで思考停止し、この短編集をただの雰囲気漫画として楽しむだけではあまりにも勿体ない。静かに読もう。そして考えよう。
- 29 : 名前: ふわふわ 2014/11/12 (Wednesday) 15:01:58 2754
極端な省略が加えられ、しかし却って表情豊かな絵と、人間の存在論に肉薄するストーリーの美しいハーモニー。戯曲『レストー夫人』のクラス上演を巡る課題と解決を描いた表題作の4つのエピソードの裏にあるのは、「わたし」を「わたし」たらしめるものは何か、というテーマ。物語・機械的動作・ことば・パーソナリティ。それぞれのパーツから人間を再構築することを試みたとき、見えてくるものは何だろうか。三島芳治の味のある静謐な絵と、不思議なストーリーは確かに目を奪う。しかしそこで思考停止し、この短編集をただの雰囲気漫画として楽しむだけではあまりにも勿体ない。静かに読もう。そして考えよう。